絵本は子どもだけのものじゃない!完全大人向け、ゴーリーの絵本

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twitterを見ていると、絵本作家のぶみさんへのバッシングが溢れていて、その中でも「絵本は子どものためにあるんだから、子どもに寄り添った内容にしないと」「自分のために絵本を書くな、子どもに押し付けるな」などの批判を頻繁に見かけます。
私個人的にはそういった保護者さんの反応というのは至極真っ当だと思っていて、やはり「自分の子どもに見せたくない」という感覚は大事にすべきだよなぁ、と感じています。当たり前ですよね。

ただ、そういう思想とは全く関係ないことだし、のぶみとは全く質もベクトルも違うアーティストなんですが、先に述べたような批判を目にするたびに私はいつも思ってしまうのです…「このママさんたちはエドワード・ゴーリーの絵本なんか読んだ日にゃ腰抜かすんだろうなァ」と。

 

エドワード・ゴーリーの世界

百聞は一見に如かず。まずはゴーリーで一番有名な絵本を少し紹介してみましょう。

うろんな客

ゴーリーの絵本の中でも初心者向けである、比較的読みやすい代表作のひとつ。とある一家の元にやってきた「うろん(怪しい、胡散臭い)な客」のお話です。こちらは子どもと一緒に読んでも大丈夫。なんともチャーミングな客が印象的で、美しい絵と文章に惹き込まれること間違いなしです。
無心で無邪気な得体の知れない生き物、しかし私たちはそれを、胡乱でも決して手放そうとはしない。果たして私たちの生活に置き換えると…一体、なんなのでしょうね。

うろんな客

うろんな客

 

 

ギャシュリークラムのちびっ子たち

ゴーリーの真骨頂である、リズミカルに韻を踏んでいく造語や古語を駆使した文章が余すところなく発揮されている、ナンセンスな最高傑作です。アルファベットの順番に子どもたちが死んでいくだけの不条理で不気味な絵本は、子どもに見せる見せない以前の問題。ゴーリーといえばコレを思い浮かべる方が一番多いのではないでしょうか。
この繊細で美しいモノクロームの絵へ沿うようなシュールな言葉遊びと共に、どんどん子どもが死んでいきます。

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karmaのKは「まさかりぐさり」
ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで

ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで

 

 

エスト・ウイング

文章のない、モノクロの緻密な絵だけで綴られた絵本。わかっているのは「西棟」ということだけ!どこの西棟なのか、何が起こっているのか、全ては読み手の想像力に委ねられています。完全なるイマジネーションの上級者向け絵本であり、ゴーリーの絵本の中でも「怖い」と名高い作品です。私は個人的に、最も好きな一冊。

ウエスト・ウイング

ウエスト・ウイング

 

 

2人のエドワードが作った2冊の名作

エドワード・リアというナンセンス詩人と、エドワード・ゴーリーがタッグを組んで作った絵本。ナンセンスなエドワードが2人揃えば、それはもう…。それぞれ独立した絵本ではありますが、必ずセットで読んでほしいと思います。

ジャンブリーズ

ゴーリーの絵が不気味じゃなくなります!テンポよく進んでいく文章と、変だけど可愛い絵がゴキゲンな一冊。今までのゴーリー作とは違って、やはりリアの文章が活きているのか、ユーモラス度が増してとても楽しい雰囲気です。

ジャンブリーズ

ジャンブリーズ

 

 

輝ける鼻のどんぐ

…と思いきや、やはりそうはいかないのがナンセンス業界(今考えた)。ジャンブリーズの登場人物が、小気味よく狂っていく、哀愁漂う恋のお話です…。これぞリアとゴーリーの真骨頂。この感覚を味わうためにジャンブリーズを読んでほしいと、ファンである私は思います。ちなみにリアは鼻がコンプレックスだったそうですよ。

輝ける鼻のどんぐ

輝ける鼻のどんぐ

 

 
和訳担当である柴田元幸さんの凄さ

ゴーリーといえば文章も魅力のひとつですが、日本人なので和訳された絵本も読みたい。そこでゴーリーの造語も多く含まれるリズミカルで直訳し難いであろう文章を翻訳し続けてきたと柴田さんは本当に凄いなぁと思うのです。
そのリズムと世界観を徹底的に壊さないような配慮を、日本らしさでパッケージングしている。短歌を用いるなんて常人の発想ではない。本当にすごい翻訳家さんだなぁ、と、ゴーリーの絵本を読んでいると改めて感服せざるを得ません。

medium.com


ぜひ手にとって体感してみてほしい

昨年は展示もしていたゴーリーの世界観、ぜひ手にとって実際に体感してほしいと思います。あまりに凄くてここでは紹介しませんでしたが、読了後の不快感も凄まじい作品が幾つもあります。
ここ数年で巡回展示している「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」も東京では昨年行われ、先月までは新潟で開催されていたようです。また近いうちに次の開催地が発表されることと思いますので、情報を楽しみに待ちましょう♪

 

ja.wikipedia.org

 

最後に自己紹介させてください

私たち【 educart(エデュカート)】は、yajiとkarmaの2人による【児童福祉×芸術】をテーマにしたチームです。保育園などへの出張音楽講座、障害児向けのアートセラピー、ママやパパが楽しめるイベント開催など、芸術を通して子どもたちに生きる楽しさ・自己表現の素晴らしさを伝えていく活動を行なっています。 

educart.hateblo.jp